★手話ニュースのお話★

★手話ニュースのお話★

お友達のＡさんが以前、私の手話ボードに投稿してくれたものです。
ＮＨＫの手話ニュースのスタジオ見学をすると配布される紙に書いて
あったものだそうです。

※ 手話ニュース(^^)/
＜目的＞
NHK手話ニュースは、平成2年4月に放送を始めました。
聴力障害者は全国で37万人。難聴者を加えると200万人とも300万人とも
いわれます。テンポの早い日本語についていけない高齢者も急激に増えて
います。こうした特定の人々を対象にしたマイノリティ（少数者）
サービスなのです。手話を中心としたトータル・コミュニケーションによって
ニュースを提供しています

 

＜ナマ放送＞
ニュースは早く正確に伝えるのが生命（いのち）です。
ですから放送前に収録してしまうという手法はとれません。
常に間違いを許されない一発勝負,ナマ放送の世界なのです。
それに加えて,ほとんどなじみのなかった「手話」を用いて、
ニュースを表現しなければなりません。
一般のニュースが日常茶飯事にこなしていくごく普通の時事用語も、
手話への翻訳は思案のしどころになるのです。
そこで周到な事前の準備と綿密な予行練習が欠かせません。
無造作に流れるテレビ画面の裏では、担当者の格闘がギリギリまで
続くのです。

＜編集方針＞
ニュースの編集にあたっては,どんなニュース番組にも編集方針
というものがあります。編集者の精神とかスタンスによって違ってきます。
ＮＨＫ手話ニュースの心構えとは？　それは次のようなものです。
 

正しく的確な情報を伝える。公正と品位を失わない。人の心を大切にする。
人権とプライバシーを守る。権力や大衆におもねない。

＜演出＞
聴力障害者が手話を読み取る場合、
手、指、口、唇、顔の表情、身体の動きが大きく映ることが大切です。
ＮＨＫは手話を重視する立場から、手話通訳士を画面に大きく写す手法を
採用しました。同時に手話通訳士には主役としてニュースを伝えていく
キャスター的な役割を持たせています。
手話通訳士が画面に登場するのは、１０分のうち６分前後を占めています。
 

＠手話ニュースの原稿は徹底した「誇張と省略」の手法をとる。
＠原稿はなるべく逐語的に手話化して貰うことを前提とする。
＠そのためには手話に翻訳しやすい文章を工夫する必要がある。
＠修飾語はできるかぎり省き、修飾節や修飾句は追放する。
＠観念的な言い回しや放送・マスコミの常套句、慣用句は放逐する。
＠出稿原稿は完全に分解し、要素を整理し大事な部分を精査・精製する。
＠不必要な要素は思い切って廃棄する。
＠固有名詞はなるべく使わない。短く言い替えられないか智恵を出す。
＠逆に固有名詞が重要な要素なら、それを強調して説明を加える。
＠数字は手話の敵。四捨五入して丸める。
＠数字が大きな要素なら、それを強調して表現する。四捨五入も時と場合。
＠字幕スーパーは聴力障害者にとっては生命である。
＠字幕スーパーをアナウンスの補助手段だと考えたら大きな間違いである。
＠字幕を読めば全てが分かるという作りをしなければならない。
＠原稿の要素は全て字幕スーパーに盛り込む必要がある。
＠下ダブリは１行で１５文字以内、縦ダブリなら２行１６文字以内が理想。
＠漢字を５つも６つも連続して並べないよう注意が肝心。
＠字体・文字サイズ・文字強調に最新の気配りをする。
＠原稿を短く簡潔にまとめることが、そのための大前提となる。
＠要は誰を相手に放送しているかを忘れないことである。